2018-12-31

2018年にアイドルの衣装製作に起きた変化と今後のトレンドについて

平成最後の年末、plus81costumeは音楽番組に出演するアーティスト様の衣装製作や 現場での衣装調整やスタイリングを行っていたため、大晦日の今日も最後の調整業務に現場に出ていました。

毎年、なかなか年末に1年間の総括や振り返りをすることもできずに新しい年を迎えることが多かったので、今年は少し早めにスタッフと2018年を締めくくる振り返り会を設けました。

今回はその振り返りの中で話題に挙がっていた「2018年にアイドルの衣装製作に起きた大きな変化」について少しだけお伝えします。

アイドル業界の多様性が進む中、異彩を放った欅坂46やBiSHが持つ「闇」の魅力

年々アイドルの多様性が進み、様々なコンセプトや個性を持った魅力的なアイドルが増えていく中、これまでのアイドルが持つ“明るい笑顔でキラキラ”としたイメージとは一線を画す欅坂46やBiSHの(切なさや愁いを含む)「闇/陰」や「弱さ」の魅力が目立った1年だったかと思います。世の中的にも“陰キャ(陰気なキャラクター)”や“陽キャ(陽気なキャラクター)”などの言葉が流行するなどしており、そんな中での彼女たちのコンセプトやキャラクターは時代とマッチし、共感や支持を得る1つの要因になったのではないかと考えられます。

声優さんのアイドル化がさらに進んだ2018年

▽スタッフの声
声優さんのアイドルはアイドルらしい衣装が多い印象だった。(パタンナー)

近年、女性声優さんのアイドル化が著しく、2018年もそれがさらに進んだ1年だったかと思います。アイドルの多様化で様々なキャラクターが増え、欅坂46やBiSHのようにアイドルの常識を覆すカウンター勢が注目される中、声優の場合はいわゆるアイドルらしいアイドルとしてデビューする傾向が強く、華やかなアイドルらしい衣装を着用する方が多かったように感じます。

カラフル&フリフリな定番衣装からの脱却

アイドルの“明るい笑顔でキラキラ”イメージを象徴する衣装としてカラフルでフリフリな装飾のついた衣装などが定番ですが、先述の欅坂46は衣装においても従来のアイドルとは全く異なっており、これまでに出したシングル曲の衣装はすべてシックでダークトーンのものばかりです。また、2018年のヒットシングル「アンビバレント」では白のブラウスをベースとしたモノトーンのカラーコーディネートが話題になりました。アイドルの衣装といえば既製品にはなかなかないため衣装製作を行うのが基本となっている中、本人たちが着用しているブラウスはモードブランド「CHALAYAN」など複数ブランドの商品のものなどらしく、実際に購入できるという点でもファンの中では話題になったそうです。

2018年はplus81costumeへのオーダー内容の傾向にも少し変化がありました。

“耐久性”のある衣装製作を求めるオーダーが増加

▽スタッフの声
ジャケット撮影後ライブで使用する等、使用頻度が高いとのことで耐久性のある衣装製作を求められることが増えました。(パタンナー)

従来のアイドル衣装は一般的な洋服(リアルクローズ)とは異なり、華やかさやコンセプトにあった仕上がり、コンサート映えなど、いわゆる“見た目”を重視する傾向にありました。それがこの数年では、その華やかな見た目に加え、耐久性や動きやすさなどを求められることが多くなり、特に2018年はその傾向が顕著に表れた年でもありました。

アイドルにおいて衣装がその曲のコンセプトを表すための大きな役割を担っており、コンセプトの一貫性を保つため、CDジャケットで着用していた衣装をライブにも使用するという傾向にあると考えられます。また、アイドルのパフォーマンスのクオリティも上がり、激しいパフォーマンスにも耐えうる衣装が求められていることも傾向の一因だと考えられます。

さて、ここからは2019年のアイドル衣装業界におけるトレンド予測についてお伝えします。 ※あくまでわたしたちの勝手な予測ですので悪しからず…(笑)

憧れの衣装が買える!?ファッションと衣装の関係が深まる

▽スタッフの声
アイドルプロデューサーの渡辺淳之介氏のブランド「ネグルドアダルトペイシュエリ」が東コレに出たり、でんぱ組.incの相沢梨沙のブランド「MEMUSE」もコレクションを発表していたり、ファッション誌でのブランドとアイドルのコラボ(商品など)や、雑誌だけでなく1つの曲の衣装としてスタイリングにブランドの服を使用したり、2019年はもっとファッションブランドとアイドルの関係が深くなり、衣装もモードで一般人も真似たり、同じものを着用できるといった流れになるのではないでしょうか。(その他製作・現場)

上記に記載している以外にもPerfumeが自身のブランド「Perfume Closet」というプロジェクトを開始したり、著名なファッションスタイリストや新進気鋭の若手コレクションブランドのデザイナーが自身のブランドとは別の仕事としてアイドルやミュージシャンの衣装を製作するなど、この数年でアイドルやミュージシャンが着用する衣装とファッション業界との関係性が非常に深まっているように感じます。

ファンの方がアイドルの衣装を真似る「コスプレ」の潮流とはまた別の流れとして憧れのアイドルやミュージシャンの衣装を普段の生活の中で着用することができる機会が増えるのではないでしょうか。

さいごに

さて、取り留めのない文章になってしまいましたが、、、以上がわたしたちが感じた2018年のアイドル衣装製作に関する気づきと今後の予測でした。

最後になりますが改めて2018年もplus81costumeをご愛顧いただき誠にありがとうございました。
2019年もエンターテイメント業界の縁の下の力持ちとしてすべての表現者のみなさまを衣装製作でサポートできたら幸いです。

plus81costumeスタッフ一同

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